「愛してる」の持つ効力と壊れやすさ

「えー！いいなあ。カレ、“愛してる”って言ってくれるんだ。
私なんて言ってもらったことないよ」
「カレ、こないだ“愛してる”って言ってくれたの。すごい幸せ」

ワタシの周りを見ていても、とかく男からの「愛してる」という言葉に女子は弱い。
かくゆうワタシもその一人だ。
が、この「愛してる」という言葉ほど胡散臭いものはない。

愛してるとプロポーズして結婚したタレントたちが、簡単にひっついたり別れたりしてるのは周知の事実。有名人のみならず、水面下で亀裂が進み、周りが驚くような別れの事例は巷にいくらでも転がっている。この世にずっと変わらない永遠なんてないのだろうか。ふたりの愛が永遠に続くなんて、「ロウソクの灯が永遠に消えないと思っているのと一緒」だと、どこかで聞いたことがある。

よくよく考えれば、本当に愛していたら、わざわざ言葉はいらないような気もするし、言葉の力に頼って、本当にそうなれればいいな、という願望を言葉に託して言っているのかもしれない。逆に自分が相手からの愛に飢えているから、そういった言葉を発している可能性も考えられる。

愛は幻想。でももしかしたら、現実になるかもしれない幻想なのだ。それは本人たちの努力と互いの成長、愛情の深さが必要になってくるのだけれど。
個人的な事例で申し訳ないが、「愛してる」と日常的に言われていた男からの揺るぎない愛を信じていたのに、その数カ月後のあるケンカを発端に、その男が消えてしまったことがある。確かに彼からの愛の言葉を信じて、あぐらをかいていた部分が自分にあったのかもしれない。が、目の前の事実を受け入れられず、「愛している」という言葉だけが虚しく心に響いた。愛はとっても繊細で壊れやすく、生き物みたいに変幻自在なのだ。

「愛してる」という言葉には、相手をその気にさせるに充分な愛の陶酔感が有効に働く。
いま考えれば、その言葉の裏にある感情を読み取ることこそが大事だったのだろう。が、きっと発言した本人も心からそう思えたから言ったのだと思う、少なくともその瞬間は。

そう、言葉には“言霊”が宿っている。口から発せられた言葉は、きっと恋人たちの脳裏に永遠に焼きついて離れない。男は「あの時、オレは本気で彼女を愛していた」と。そして女は「今は違うかもしれないけど、確かにあの時ワタシは愛されていたのだ」、と。



『言葉は脳裏に焼きつく、甘い毒』



金子花央理（かねこ　かおり）
神戸生まれの神戸育ち。旅やグルメを中心に、温泉やスパ、恋愛など、ライフスタイル関連の分野で幅広く取材・原稿執筆。現在、バツイチシングルを年々更新中の花の独女ライター。海外渡航歴２１カ国７５都市、日本も４０県踏破の旅好き。「人生を味わい尽くす」が自身のコンセプト。



●「恋愛ジプシー」　http://ameblo.jp/kaoroon/