老化細胞を削除
遺伝子操作されたマウスを用いた実験で、しわや白内障、筋力の衰えといった老化現象を遅らせ、分裂できなくなった老化細胞を取り除くこと成功したと、米ミネソタ州にある医療機関メイヨー・クリニックの研究チームが英科学誌「ネイチャー」で発表した。
研究チームは老化にともなう白内障、筋組織の衰え、肌のハリを保つのに必要な脂肪沈着の減少という3つの症状を注視。通常の個体よりも老化が早く進むよう遺伝子操作されたマウスに投薬を行うことで、これらの症状の進行を「劇的に遅らせることができた」という。
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今後の応用研究に期待
老化細胞と呼ばれる分裂能力を失った細胞は通常は免疫系によって排除されるが、加齢とともに体内に蓄積される。研究チームによると、高齢者では細胞の約10%が老化細胞であると推測されるという。
専門家らは今回の実験結果を評価する一方、予備的研究であることから「慎重に解釈する必要がある」としている。
しかし老化現象を遅らせることができるようになれば、人の生活に与える影響は計り知れない。
研究チームに参加したJan M. van Deursen博士は英BBCに対し、
「この実験が大きな効果をもたらすと強く信じている。もし生活の質が低ければ、誰も長生きしたいとは思わないだろう」
と語っている。
Nature
Clearance of p16Ink4a-positive senescent cells delays ageing-associated disordersBBC
Signs of ageing halted in the lab