ピルは卵巣がんのリスク低減にも効力を発揮
経口避妊薬(ピル)を10年以上服用した女性は卵巣がんになる確率がほぼ半減する―。このような研究結果が、英医学誌『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー』に発表された。
欧州各国が共同で取り組んでいるコホート研究「European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)」に協力している32万7396人の女性のデータを精査したもの。
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乳がんリスクは高くなる
調査の結果、服用している期間が10年以上の女性は、1年未満の女性に比べて卵巣がんを患うリスクが45%低かった。
その一方で、乳がんを患うリスクが、わずかに増加することも明らかになったという。
英ニューカッスル大学のがん研究機関であるNorthern Institute for Cancer Research(NICR)のリチャード・エドモンドソン博士は、
「分かりやすく言えば、10万人の女性が10年以上ピルを服用すると、そうでない場合と比較して乳がんにかかる人が50人多くなり、卵巣がんにかかる人が12人少なくなるということだ」
と説明している。
調査ではまた、出産した子どもの数が多いほど卵巣がんになる確立も少ないことが明らかになったという。ピルや妊娠が体のホルモン濃度を変化させ、がんのリスクに影響を与えるという既存の研究結果を裏付ける結果となった。

British Journal of Cancer
Oral contraceptive use and reproductive factors and risk of ovarian cancer in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(Abstract)BBC News
Pill 'lowers ovarian cancer risk'